2018年4月1日日曜日

オセアニアと生態人類の沖縄旅回り

ソロモンのさかな@海洋文化館
今年のオセアニア学会と生態人類学会は沖縄だった。
今頃の沖縄は半袖でいいんじゃないか、と判断して薄着でのぞんだけど、前泊した金沢が北からの寒気の影響で小雪が降ってもおかしくないぐらいに気温が下がった。

翌日、小松から那覇への予定していたフライトが予定どおりにいかず、那覇に到着したのは18時で、珊瑚舎スコーレでのモアナの上映に30分ほど遅れてしまった。

北九州で作成したバヌアツのキッチン
ドキュメンタリー映画、モアナ、とても興味深くみた。モアナの舞台は1925年のサモアらしい。バヌアツのフツナ島に似たところがたくさんあった。同じポリネシアだから言葉もよく似ている。Mai (来なさい、持って来て)、Malolo(横になって休みなさい)、niu(ココヤシ)…と聞き覚えのある言葉、生活のいろいろな場面もそっくりで、出てくる人たちの顔やしぐさも見覚えがあるものばかりで、島が思い出されてなつかしい感じがした。

男性たちが櫂を手に持ち並んで踊るところも、フツナ島やジョンソンカワのイアロファカルチュラルビレッジでみた光景と同じだった。映画の方が、踊り手の人数が多い。ジョンソンは子どもの頃に、こんなふうに島の大人たちが踊るのを見たことがあって、再現しようとしていたのかと想像した。

イヌよりも、ヒトによく従うようにみえるイルカ
現在、ポリネシアの島々の多くからは、いわゆる生きた“伝統的な文化”は失われている。ハワイ、サモア、ニュージーランド、タヒチ…植民地を経て、言語も食文化も欧米化されたものになっている。そのぶんそれらの場所では“伝統保全”の運動が盛んで、伝統文化が大事だと意識もされているのかもしれないけど、まだ生きた“伝統的な生活”を送っている、つまり伝統とはなにかとそこまで意識せずに暮らしているもっと辺境の島のひとたちの“伝統”とはちがうもののように思う。たぶん、沖縄でも、日本でも、同じことがおこっているのだけど。

油断しているとすぐに作品をつくってしまう彫刻家ナカセ
フツナ島はリモートポリネシアのひとつ。モアナの時代に戻ることはできないけれども、フツナ島の今の暮らしを記録することはできる。他のポリネシアの地域では失われたものがまだ多く残っている。

古宇利島のサバニ
今回のオセアニア学会の会場は海洋文化館、美ら海水族館のある公園内だった。学会が始まる前に、参加者たちは海洋文化館をみた。最初に「今回、海洋文化館を見学されるのが初めての方は?」という施設の人の問いかけに、半分近くが手をあげたのに驚いた。オセアニア研究者なのに。案外、オセアニア研究者は沖縄を訪ねていないことがわかった。

沖縄のサバニ展示コーナーで、本ハギと南洋ハギでは、レクサスとカローラぐらい違うと施設の方から説明された。そのときは納得して分かった気になったけど、後日、古宇利島の浜で置いてあったサバニをみたとき、はたしてレクセスかカローラなのか、自信をもって言い切れなかった・・。

オーシッタイのピカソ
3年ぐらい前に山原や辺野古に行ったとき以来に、オーシッタイのしゃしくまーる、養蜂を営む常盤さんを訪ねた。以前、しゃしくまーるはカフェだったが、今はカフェは閉店してしまったようだ。電話をかけてみたけど出なかった。留守電にメッセージを残して訪ねてみたら、常盤さん夫は養蜂仕事に出かけていたけど常盤さん妻が待っていてくださった。

オーシッタイ養蜂の味、アサグラの苦い蜜や、何種類かの密を味見させてもらったり、庭で飼っているフォルムがとにかく丸いかわいいチャボとそのチャボが孵した白色レグホンを見せてもらったり、パパイヤをもらったりした。あいかわらず緑の濃いオーシッタイだった。また機会があったら、ゆっくり訪ねたい。

コザ十字路、目印は色鮮やかな壁絵巻
 オーシッタイにつづき、ひさしぶりにコザを訪ねた。数年置きにいつも数日だけよるコザだけど、銀天街のいつものアジト的な場所に人々が集まって歓待してくれる。コザの住人として、いつも私たちを迎えてくれるのはピータン。リヤカーマンの平良さん。ピータンも平良さんも、大學堂の縁がずっとつづいている。

コザの夜はにぎやかに更けていった
コザのおじぃからは「ここにはいろんな学生が来るけど、こんなにみんないろいろそれぞれ違うことしゃべっておもしろいのはすごいことだよ」とよろこばれる野犬。今回、リヤカーマンがネクタイをしてサラリーマンふーじーになっていたのに驚かされた。またサラリーマンとしてコンビを組んでいる、もうひとりのミッキー先輩の酒の力による変貌ぶりにも驚かされた。

朝の静かなコザ
アジトにはピアノがあって、平良さんにかわり、現アジト管理者は音楽家の犬さんになっていた。イカテツはみんなが寝た後、犬さんと夜のコザ音楽の旅に繰り出したらしい。

天ぷらの店、三幸さん
朝ごはんは、天ぷらの店三幸さんのカタハランブーをいただいた。一枚でおなかいっぱいになる。

路上のカタハランブー売りのひと
なぞの城
 生態人類学会会場の前に、中城城跡に寄った。
中城の反対側に位置するコンクリートの遺跡が目をひく。城のようなのである。

石好きにはたまらない並ぶ石

石好きにはたまらない石垣づくり
石好きにはたまらないでかい石垣

生態人類学会。能登の小木のイカ釣り漁師、寺下さんの自家製完干しスルメイカを懇親会で出した。
おいしいもの好きに好評だったよ。

焼きたてをサーブ

生態人類学会後は東浜へ移動。私は初めて東浜のノーエーを訪ねた。
ノーエーが自分で発掘したという古民家はとても素敵な場所だった。ノーエーすごいな。
ノーエーの娘、ワコ、めちゃくちゃおもしろくてかわいい。未来ちゃんを超える写真集がつくれるよ、と思う。

古民家にあらわれる妖怪系

生態人類学会から誘われてきた人たちがノーエーの宿に合流する。
旬の沖縄の野菜をふんだんにつかった料理で乾杯する。
ラマレラの鯨突き漁の本「クジラと生きる 海の狩猟と山の交換」の著者である、江上さんと小島さんが来てくれてたくさんお話をすることができてよかった。江上さんは学会会場でも能登のイカの食文化についても熱心に質問してくれていた。とてもおいしいもの好きなようだ。ビンビンの料理づくりにもずっと注目していた。今は自宅で料理教室を主宰しているという。二人の研究、ラマレラの鯨漁の発表も盛りだくさんで、海と山の交換、とても興味深かった。

ラマレラのおすすめはアルパカ

名のあるシーサー
これまで能登でしか会ったことのなかった鯨組も加わり、在沖野犬メンバー、大學堂メンバーにも再会することができ、また新しい出会いもあり、毎日濃ゆくあっというまに過ぎた沖縄滞在だった。

あのハイチ、沖縄でレコーディング

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