2017年10月30日月曜日

学問の「おもろ」さ

『大学が野に出た』を謹呈したら、館長と総長からそれぞれ丁寧なお返事をいただいた。しかも新刊本まで!


『京大式おもろい勉強法』『都市と野生の思考』『フィールドワークの絶望と愉悦』。おふたりの本に書かれている事は、「おもろい」「共にいる」「野生と アート」「旅と余技」「人と自然」などなど、とても多くの視点が野研本に共通している。まあ同じ人類学スクールのもとで学んできたのだから、重なる部分が あるのは当然かもしれないけれど、こうした指摘の中に今の教育や研究にとって、いや、この時代を生きていくために大切なことが、はっきりと示されていて、 とても力づけられる。

 このごろは実践教育とかALとかいう名目で、カタカナ職業の実務家を呼んで、学生たちに社会見学のような研修活動(インターン)や奉仕活動(ボランティ ア)をさせるのがはやっているが、それが、はたして大学での学びといえるのだろうか。

 学問的背景が希薄な、こうしたありきたりの社会活動の貧弱な実像を、 これまでわたしは嫌というほど見てきた。それでも、しないよりましといわれるかもしれないが、むしろ学生たちの好奇心をつぶしてしまう害があるのではない かとすら思っている。している本人たちも自信なさげだ。なぜなら学問の「おもろ」さは、そんなお仕着せのプログラムの中にはないからだ。

篠原さんと山極さんの本は、そういう意味でまさに目から鱗、おすすめだ。学生たちとどうやってフィールド出て行くのか悩んだり迷ったりしている人には共感で きるところが多いと思う。もちろん、もちろん、そのときにはぜひ、うちの『大学が野に出た』もあわせて読んでほしいな。

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